契約書の一般条項の注意点2つ
契約を締結する場合、その契約に特有の条項のほかに、一般条項と呼ばれるものが規定されています。例えば、以下のようなものがあります。
- 契約期間
- 解除
- 秘密保持
- 通知
- 譲渡禁止
- 完全合意
- 変更
- 準拠法
- 合意管轄
このうち注意すべき点を2つ。
完全合意条項
まず、完全合意。完全合意条項は、契約の当事者間で成立した合意内容は契約書に書かれているものがすべてであり、その他には存在しない、という条項です。この条項が規定されると、契約書の締結前や、交渉の過程で成立していた口頭やメールなどでの合意や、両者が了解していた事項は、すべて効力がないものとされることになります。
契約を締結する際に、契約書に規定された以外の口約束やメールでの合意・了解事項がある、というのは、よくある話です。しかし、完全合意条項を規定してしまうと、そのような合意は効力がないものとされてしまいます。したがって、完全合意条項を規定する場合には、合意・了解事項はすべて契約書に規定してあるかをよく確認する必要があり、契約書外に合意事項等がある場合には、完全合意条項は規定しないようにする必要があります。
逆に、もし契約書外の合意内容をなかったものとしたい場合には、完全合意条項を規定しておけばよい、という話にもなるわけですが…。
規定の双務性
契約書の一般条項は、一般的に、その契約に特有な最重要事項(例えば、業務委託契約であれば、委託業務の内容と対価、など)が規定された後、契約書のうしろのほうに規定されることが多いものです。内容的にもみなれたものも多いため、レビューの際にも「流して」しまうことも少なくありません。
しかし、例えば、譲渡禁止条項などが、自分のみが義務を負うようなかたちになっていることがあります(自分は相手方の同意がなければ譲渡できないが、相手方については規定がないので自由に譲渡できる、など)。その条項をドラフトしている側は、当然意図的に規定しているわけですが(「相手が気づかなかったらラッキー」)、相手が気づかなければ、そのまま、その相手は一方的に義務を負うような不利な内容になってしまいます。
したがって、(当然のこととはいえ)契約書は一般条項も含めて最後まで気を抜かず読む必要があります。